2010年11月20日土曜日

市民参加型の地方予算

市民参加型の地方予算

参加型予算のことをブラジルではOP(オーペー)と言う。毎年三月になると、OPの地区会議が始まる。
課題は地区として希望する予算のほか、地域フォーラムに出席する代表団を選ぶことと、去年の予算執行について反省することだ。質問に答えるため、市長や市の職員がこの会議に出席する。フォーラムに出席する代表団の人数は会議の参加者数にもとづいて一定の方式で決める。四月からは地区会議で選ばれた代表団が地域フォーラムに出る。

ポルトアレグレ市が一六の地域に分けられている。

毎週あるいは隔週、OPの内容について他の会議からやってくる代表の人たち数十人と協議する。教育・交通などテーマ別に五つのフォーラムも同じように開かれる。ここでもフォーラムに市の担当職員が出席して質問に答え、意見を出す。
最後にこの地域フォーラムで評議員を二人選び、市予算評議会に送りこむ。ここでは地域別・テーマ別フォーラムを代表して出てきた四二人の評議員が隔週に集まり、出された予算案を数か月にわたって整理する。

市職員の給与、全市共通の課題など、市政の運営にかかせない支出は別として、それ以外の予算の大きな部分がここで決まる。意思決定の仕方を変更するのも、評議会の仕事だ。このようにOPは、地区会議→地域フォーラム→予算評議会の三段階を経て、各地区の住民の意思を大きく活かすしくみになっている。

土地の有力者など発言力の違いによる差別がないかどうかが問題になるかもしれない。はじめのうちは発言回数に差が見られる。しかし参加者は会議から学ぶようになり、次第にそのような違いが見られなくなるという。

OPは市民が自分の意思で地域の生活を変え、同時に自分の連帯意識を育てる方法となっているところがすばらしい。素人の市民が政治交渉を始めたことも注目される。「そちらの地域が求める予算を支持するから、こちらの予算案を支持してほしい」 と交渉する。これがうまく機能する。この実験が成功したのは、単なる実験にとどめず、行政のしくみとして制度化したところにあるとバイオッキさんは書いている。
市民が参加型予算を組み上げるポルトアレグレは世界から注目を集め、2001年から世界社会フォーラムが開かれた。

新しい経済システムである「連帯経済」=「参加型経済」(participatory economy)は平等・連帯・多様性・自立・生態バランスの五つをめざす。
平等については、生産手段を個人で所有せず、社会全体で所有するので、富が特定の個人に集中しない。

連帯は会議を通じて生まれる。労働者と消費者が会議で民主的に協議する。それぞれが評議会を開いて、それぞれの問題を協議するだけでなく、互いに会議を通じて意見を交換する。

それから労働の多様性。たとえば一人は流れ作業ばかり、一人は事務処理ばかりといった偏った分業はなくなる。

そして自立。これは意思決定を当事者ができることを表す。経営陣や議員たち・行政などに任せるのではなく、自分たちのことは自分たちで決める。その前提となる各人の収入は、労働に応じて決まる。違った質の労働を複合させる考え方だから、労働の質で収入が変わるという考え方はない。

生態バランスも大きな課題だ。米のNGO「進歩の再定義」の計算によると、すでに生態系にたいする負荷量が許容限度を超えたという。

参加型民主主義が広がる

同じような制度を取り入れた自治体がブラジル東南部で増えているし、参加型予算が追求されている。一部の「政権担当者」が戦争予算を決めるといった制度は、これからの世界で通用しなくなるだろう。国政のレベルまで評議会形式を充実させ、人々の自治を実現することが連帯経済の狙いだ。一極集中から多極分散への変化が追及される。

(注、最近、日本も、わずか1%予算とか在るけれど、日本を駄目にした恥さらし世代の団塊は早く隠居して欲しいものだ。)
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